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ミツバチ愛好家が語る―ネオニコチノイド系農薬―

2021共育講座 「ミツバチ愛好家が語る―ネオニコチノイド系農薬―」

2021/7/3レイチェル・カーソン日本協会東海フォーラムによる「2021なごや環境大学共育講座」の開講です。なごや国際センターに於いて、十分な感染対策を講じた上で開催されました。

2021前期講座第1回のテーマは「ミツバチ愛好家が語る―ネオニコノチノイド系農薬―」
講師のミツバチ愛好家とは神戸大学名誉教授尼川タイサク先生。大学を定年退職され、豊かな自然が残る滋賀県高島市へ移住。知人に「そこだったら飼えるよ!」と勧められミツバチの入った巣箱を贈られたことが、愛好家になったきっかけだったそうだ。
尼川タイサク先生

尼川先生のお話は驚くことばかりだった。
〇ミツバチの暮らしぶりに驚く
ミツバチは女王蜂を中心に5,000匹以上の蜂が一つの生命体となったように役割を果たす超個体となって暮らす。ミツバチのコロニーのほとんどを占める働き蜂は雌であるが、女王蜂が出すフェロモンによって自分の卵巣の発達が抑えられ出産できないそうだ。彼女たちは働き蜂となって世話役として巣を守る役割を果たすことになる。
〇ミツバチの社会性に驚く
ミツバチのコロニーは、行動を決める時に⑧の字ダンスを踊り互いのコミュニケーションを図り、会議を開き意志の疎通を図り多数決で行動を決めているという。社会性昆虫と言われる所以だ。
〇ミツバチさんありがとう
ミツバチは私たちに蜂蜜・蜜ロウ・プロポリスを提供してくれる他、その行動の様子から社会問題の研究材料を与えてくれる。
また、ワン、にゃん・ビーと言われるように私たちに癒しを与えてくれるようになった。

★そんなミツバチに農薬が忍び寄る
近年、ミツバチは大量死、大量失踪で急激に姿を消していると言う。原因にダニ、ウィルスの他ネオニコチノイド系農薬が指摘されている。この農薬は日本では水稲のカメムシ防除に使われ、死んだミツバチから検出されていると言う。
ニコチン系農薬であり、こともあろうに、ミツバチは自分からニコチンに寄っていくという。ヒトの愛煙家と一緒でニコチン中毒のようだ。
このネオニコチノイドは国内では水稲のカメムシ防除の他に家庭でもペットの蚤取りなどに手軽な殺虫剤として使われている。しかし、浸透性農薬であり洗っても落ちず難分解性であり、花粉媒介のミツバチなど多くの昆虫を殺し生態系を乱す危険があるとされ、欧米ではその使用を厳しく規制している。その一方、日本では欧米に比して規制が緩く残留基準が高いまま設定されており、身近な水田では今でもリモコンヘリによる散布などが行われている。
ネオニコチノイドは、ヒトには無害で、高い残留性と難分解性が一度の散布で効果が長持ちとされ「夢の農薬」と言われることもある。しかし、欧米のレポートから、ミツバチの絶滅の可能性を示唆されている事実は重い。
ネオニコチノイド系農薬の影響で、このままではミツバチは絶滅してしまうとして滋賀県高島市の有志で環境保護団体「ミツバチまもり隊」を組織し、保護活動に取り組んでいるという。
会場

尼川タイサク先生のお話を聞いて、なんだかレイチェル・カーソンが告発したDDTとネオニコチノイドはよく似ていると感じた。DDTの登場時の「小さい虫には効くが大きな動物には害を与えない」といったフレーズは大変よく似ている。時代は繰り返すと言われる。そんなことにはならないようにレイチェル・カーソンの思いはつないで行かねばなりません。

さて、次回のレイチェル・カーソンの思いはつなぐ、はミツバチからつばめにバトンタッチ
「10年ぶりに戻ってきたつばめの大群」です。
7月17日(土)14時からなごや国際センターです。

最後に、二ホンミツバチとセイヨウミツバチの違いを学習しておきたい。
我が家にも狭いながらも庭があり、春になると花も咲き蝶が飛び蜂も飛来する。蜂が来たよ。刺されないように気をつけてね。尼川タイサクさんと暮らしているのは二ホンミツバチである。その蜂は大人しくまず刺さないそうだ。少しは安心!


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