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「帰ってきたつばめの大群」

2021共育講座 「帰ってきたつばめの大群」

2021/7/17 レイチェル・カーソン日本協会東海フォーラムによる「2021なごや環境大学共育講座」が開講されました。なごや国際センターに於いて、密を防ぐなど十分な感染対策を講じた上での開催です。

2021前期講座第2回のテーマは帰ってきたつばめの大群
細口池生き物復活クラブ代表の浅井正明さんの報告でした。細口池とは名古屋市天白区にある江戸時代に造成された農業用ため池で、現在は治水調整池として活用されています。講師の浅井正明さんは名古屋市の造園職の元職員で長く公園緑地の整備に携わり、その後COP10の行事開催、生物多様性センターの設立に努力されました。退職後は「住民の知恵と力で地域の自然をとり戻す」ことを合言葉に地元の細口池で一度は失ったツバメのねぐらを復活させる活動を行っておられます。
浅井正明さん

お話を聞いていて、一口に「つばめのねぐら復活」と言っても、その活動には生物多様性を巡る自由で豊かな発想と多くの地域の人たちの協力と大変な努力が必要であることを再認識しました。

〇地域の自然を感じる自由な心と行動する体
細口池では2009年以前には毎年夏にツバメがねぐらとして利用するため飛来してきていた。しかし、2009年夏になると飛来がなくなり、住民はツバメのねぐらが喪失したことを知ることになった。そのためツバメのねぐらを復活させるために、地域住民20名程で「生きもの復活クラブ」を結成し2014年に活動をスタートさせた。
活動は「ツバメのねぐらはどうして喪失したのか?」を議論することから始まった。

私たちの多くは、春、つばめが軒下で巣をつくり、やがて夏になると巣立ちしていくことは知っている。しかし、ツバメが目の前からいなくなるとその先は考えない。居なくなったツバメはどうしたのだろうと想うこころを大切にすることを講師のお話から学んだ。
〇原因を探求する地域の心と専門家の知恵
かつて細口池ではツバメは留まっても大丈夫なヨシ原をねぐらにしていたが、いつの間にかヨシ原は衰退し、替わって、ツバメが留まることができないヒメガマが占有するようになってしまった。このことがねぐらを喪失した原因であることが判明した。

なぜ、ヨシが衰退しヒメガマが占有するようになったのか?調査の結果、原因は池の水位にあった。ヘドロで埋まった池に水生生物保護のために第3者が水位上昇のために排水口を工夫し水位が60cm程上昇させていたことが原因であった。このことによってヨシが衰退し、嫌気的底質に強いヒメガマが占有するようになってしまった。
〇いよいよ活動
ヨシ衰退の根本原因である底質の嫌気状態を改善するため、池の水位を低下させるとともに、ヒメガマの成育範囲に光合成抑制のため遮光シートを敷設した。
併せて、ヒメガマを根茎から抜き取り、刈り取りを行った。加えてヨシの成育促進、ヨシ原の再生も行った。
これが大変な重労働。適切な工夫と多くの住民の労力なしにはできない。
活動には地区住民の協力とともに、併せて個人的な献身的な努力も必要なことが話された。

そして、2018年7月になると、ツバメのネグラが復活したことを確認された。

〇8年間の活動の成果
活動前ではヒメガマ90%ヨシ5%、活動後ではヒメガマ10%ヨシ45%になり、ヨシのねぐらが見事に再生された。
また活動では、ヒメガマを一方的に否定するのではなく生物多様性に配慮して、鳥類の食糧としてのメリットがあるヒメガマの成育にも配慮しているところが、素晴らしい。
会場


今回の浅井さんのお話のテーマ「帰ってきたツバメの大群」には副題がある。
〜住民の手でヨシ原を再生、ツバメのねぐら復活へ10年の道のり〜
南の国への渡りの基地/ツバメを介して細口池と世界がつながる

そうだ、そうだ、ツバメは3月4月に南方の国から渡ってくる。そして私たちの軒下に巣を作り産卵し、子育てをして、夏になると巣立ちし、7月から9月にかけて細口池のようなヨシ原をねぐらにしてから9月から10月には南方に渡っていく。
そうだ、細口池は世界とつながっているのだ。

浅井さんはじめ細口池生き物復活クラブのみなさんの活動に感動しました。素晴らしい。

さて次回の共育講座は8月7日(土)なごやの生物多様性〜都市のはざまで生きる 
です。
なごや国際センター14時です。みなさんのご参加をお待ちしています。

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